
2018年10月1日に訪れる派遣エンジニア大量解雇の恐怖
少々前の内容ですが、時が経ち人事たちの間で対策が練られて来たのでご紹介します。
「厚生労働省のサイト」でもあるように、2015年10月1日より、労働者派遣法が大きく改正されました。
この労働者派遣法、人事の間でも話題になったのですが、今後の流れによっては一気に派遣エンジニアが採用されなくなる危険性を孕む法改正でした。
まぁ、我々も対策はしっかり取るのでキチンとした人事がいる企業であれば抜け道を使うので問題ありませんが、法に疎い企業は2018年10月1日に派遣エンジニアが大量解雇となり、一気に業績が悪化する可能性があります。
一見すると失業の大ピンチですが、裏を返せばこの混乱に乗じて狙った大企業に入るチャンス!
まずは問題となる労働者派遣法のポイントを理解してから、対策を実行しましょう。
簡単にわかる個人単位の派遣期間制限と事業所単位の派遣期間制限とは?
派遣エンジニアにとって最も重要となるのが「個人単位の派遣期間制限」と「事業所単位の派遣期間制限」になります。
事細かい説明は「厚生労働省のサイト」で確認して頂くとして、ザックリ概要を書くと。
- 個人単位の派遣期間制限:派遣社員は3年間しか同じ派遣先で働けない
- 事業所単位の派遣期間制限:派遣社員の労働期間に関わらず、同じ事業所から派遣社員を3年以上続けて派遣することはできない(条件を満たせば延長可)
ちょっと分かり辛いですが、例を見てみましょう。
【例1】
「A派遣元」と「派遣エンジニアB男さん」が同時に「C社」へ派遣就労を開始した場合【答え】
「派遣エンジニアB男さん」は「C社」に最大3年間就労可能
【例2】
「A派遣元」が「C社」へ2年間、エンジニア派遣をしている状態で「派遣エンジニアB男さん」が「C社」へ派遣就労を開始した場合【答え】
「派遣エンジニアB男さん」は「C社」に最大1年しか就労できない(事業所が条件を満たした場合は+2年就労可能)
【例3】
「A派遣元」から1年間「C社」に派遣されていた「派遣エンジニアB男さん」が「D派遣元」に乗り換え登録し「C社」へ続けて派遣された場合【答え】
「派遣エンジニアB男さん」は「C社」に追加で最大2年間就労可能
【例4】
「A派遣元」から3年間「C社」に派遣されていた「派遣エンジニアB男さん」が3か月と1日の間、別会社で働いてから再び「C社」への再派遣を希望した場合【答え】
「派遣エンジニアB男さん」は「C社」に最大で3年間、再度就労可能(3か月超のクーリング期間を置けば何度でも同じ企業に再就労可能)
派遣元を乗り換えるか、派遣元が条件を満たしていたとしても、恐ろしいことに一人のエンジニアが同じ会社に続けて派遣就労可能な期間は最大3年間が限界なんです。
3か月超のクーリング期間を設ければ再度同じ企業に就労できますが、3か月だけ働ける場所なんてバイト以外ではそうそうありません。
派遣エンジニアが多い「職人型エンジニア」や「少人数型エンジニア」「生活重視型エンジニア」には痛い法律ですね。
人事が教える改正後の労働者派遣法の抜け道
どんな法律であっても抜け道はあります。
というか抜け道を使わなければ日本のほとんどのIT企業が2018年10月には潰れてしまうので、多くのIT企業がこの抜け道を使うと予想されます。
正社員化をすれば良いのでは?と思うかもしれませんが、昨今、エンジニアを必要とするプロジェクトは制作期間が短く、すぐに開始できる分、ダメだった場合の撤退も早いです。
一年~三年スパンで人員が必要になったり不要になったりするので、全員を正社員化してしまうと会社の人件費が肥大し、増えた人件費だけで潰れてしまうんです。
なので正社員化が促進されることはまずありません。
せいぜい、今と変わらないかほんの少し増えるくらいです。
【改正後労働者派遣法の抜け道】
・派遣元での無期限雇用状態である
・60歳以上での派遣就労 ・外注の個人事業主として就労する
上記2つが、企業がとるであろう主な改正後労働者派遣法の抜け道になります。
派遣元での無期限雇用状態というのは派遣元に雇用され、そこから他の会社へ派遣されるという形式です。
この形式が企業人事にとっては一番楽ですが、いかんせん派遣会社が派遣社員を雇用する必要があるため、相当大きな派遣会社か、少数精鋭の会社のみしか難しいのが現状です。
入れればほぼ正社員と同等なので安定はしますが、狭き門となります。
60歳以上での派遣就労については、コントロールできるものではないので省きます。
では、どうすればいいのか。
通常の派遣社員として一定期間就労後、個人事業主としてその会社と契約を結ぶんです。
いきなり個人事業主として売り込むとどうしても信用性が薄いため、希望先への入社確率が低くなってしまいます。
しかし、派遣会社経由であれば担当営業がしっかりと売り込みをしてくれるのと、その企業から派遣されている人員のお陰でパイプが繋がり、採用確率がグッと上がります。
採用後は至極簡単。
とにかく仕事をこなし、なるべく重要or誰もやりたくないポジションに就くこと。
そうすれば派遣社員としての雇用期間が終了した際、正社員化や、失敗しても個人事業主としての契約を結ぶことができます。
更に、派遣社員を雇うと高くついていた給料が個人事業主だと安く済むので、手取りとしては高めの請求でも通りやすくなります。
派遣会社がよくわからないという人は「レバテックキャリア」のような大手企業にコネのある派遣会社を利用すると良いでしょう。
転職活動の時期などについては「中途採用のエンジニアにおすすめ!エンジニア人事部が教える転職活動の時期」や「エンジニア人事部が教える転職面接のコツとマナー~男性編~」「エンジニア人事部が教える転職面接のコツとマナー~女性編~」を確認しましょう。
まとめ
【労働者派遣法の改正内容で重要なもの】
- 同じ会社へ連続で派遣されるのは3年間が最大
- 派遣元企業から同じ派遣先へ派遣社員を派遣できるのは3年だが、条件を満たせば延びる 対策無しで同じ会社へ連続派遣されたい場合は、最低でも3か月と1日以上、日を開ける必要がある
- 厚生労働省の労働者派遣法改正に関するホームページは「コチラ」
【労働者派遣法対策のまとめ】
- 大手派遣会社や有名企業にコネが強い派遣会社を利用しよう
- 派遣社員として入社し、期間が切れる前に正社員化もしくは個人事業主契約を結ぼう
- 2018年10月近くになるとライバルが多いので行動はお早めに
おわりに
法律の改正というのは厄介なもので、エンジニアのキャリアアップや転職に良くも悪くも大きな影響を与えます。
いざという時に「そんなの知らない!」「言ってたことと違う!」と暴れても後の祭りです。
想定外の法律が可決されても良いよう、常にアンテナを張り巡らせておき、手に入れた情報を元に自分で考えたり、信頼のおけるアドバイザーの手を借りて対策を取ることで、不測の事態が起きても対処できるようになります。
今後も就職や転職、派遣などに有用な情報を「コチラ」で公開していきますので、空き時間があれば度々覗くようにしてみてください。
